トレンドを追わない”良い器”を生み出す作り手の思い

ブログ

ビュッフェウェアと衛生消耗品の輸入販売を主力としている当社ですが、ここ最近では国内外のさまざまなテーブルウェアを取り扱い、ホテルやレストランの新規開業・リニューアルに合わせたご提案を行っています。

特に国産食器は、お客様のご要望を取り入れながら柔軟かつスピード感を持って対応できることが大きな魅力。その実現には、私たちの想いを形にしてくださるパートナー企業の存在が欠かせません。

今回は、当社カタログ掲載のビュッフェ向け食器を製造いただいているメーカーさんを訪問し、商品開発責任者の方に、ものづくりへの想いや開発秘話についてお話を伺いました。

「制約」があるからこそ、良いデザインは生まれる。

──まず、商品開発で最も大切にしていることを教えてください。

まずは会社である以上、制約があります。自分たちの持つ素材で、そして自分たちの窯で作れるプロダクトといった制約の中に最大限の“遊び”を見出すこと、これが難しくもあり、醍醐味でもあると考えています。制約があるというとネガティブに聞こえるかもしれませんが、もし何でも自由に作れるなら、選択肢は無限になり、かえって方向性を見失ってしまう。だからこそ、自社ならではの技術や素材の長所を活かしながら、新しい可能性を探ってゆく、それが結果的に“遊び”の要素につながっていると考えています。

また、組織で効率よく仕事をするために、作業をうまく分散させるという切り口から、新しい技術が生まれることもあります。例えば、施釉工程だけが忙しくて、ほかの部署の仕事が少ないという状態は会社として健全ではありません。手が比較的すいている部署でいかに新しい製造技法を開発できるか、通常とは逆の流れで考えアイディアが浮かぶこともあります。

 目指すのは「10年後も選ばれる器」

──形状をデザインする際に意識されていることはありますか?

基本的に主力のラインナップをデザインしているのは私一人です。20年かけて約120型の形状を作り上げてきました。形状を設計する際に意識しているのは「きれいですっきりとした形であること」「10年後にも使える形であること」です。

「きれいな形状」というのは、360度どこから見てもきれいな形状のことで、型屋さんに嫌な顔をされても妥協せずにミリ単位で修正を重ねて完璧を目指します。わずか数ミリの差で野暮ったくなるか、緊張感のある良い形になるかが決まるといっても過言ではありません。また、このプレートや平鉢のように20年前からある形が今でも人気があったり、発売当初それほどでもなかった形状が数年経って再評価されるケースもあったりするのも面白いですね。こうしたことで自分の感覚を再認識すると同時に、自信にもつながっていると感じます。

器は主役ではない。料理を引き立てる存在でありたい。

──意匠(色や柄)についてはどのように考えていますか?

食器はあくまでも料理を乗せるものであって観賞用ではないと考えています。なので料理に合うことが大前提。だからこそ、色や柄は自然と料理を引き立てる落ち着いたものになっているかと思います。

新しい釉薬については今のラインナップにないものを作るイメージを持ちながら、常識にとらわれることなく、日々挑戦しています。また、当社の場合は形状の設計が先にくるので、形状に合った色や模様というのを模索します。新しい形状が出来上がったら、手持ちの釉薬を一つひとつ試して一番合うものを商品化したりすることもあります。

トレンドを追うのではなく、市場に「まだないもの」を考える。

──新商品のアイデアはどこから生まれるのでしょうか?

国内の食器関連の展示会には必ず行くようにしています。そこでは何か具体的なアイディアを探すというよりは、ざっくりとした傾向を掴み、市場に無いものを把握するというイメージです。市場に無いものを作る=先手を打って新しいものを生み出すという作業を繰り返しています。

逆に近隣の食器メーカーのことはあえて見ないようにしています。目に入ると変に意識したり、先入観を持ったりと新商品開発の妨げになってしまうからです。アイディアが思いついたらすぐに試作に取り掛かり、周囲にも「こんな新商品を作っているよ」と先に宣言することも。先手を打ちつつ、有言実行の意味で自分にもプレッシャーをかけるのです。そういうわけで、いつもなにかしらの試作をしているのが我々の日常です。

それから、ダックさんとの出会いが発想を広げるきっかけにもなりました。我々は元々和食器屋さんです。ホテルやレストランなど、ダックさんのお客さんのリクエストは新鮮で、使われるシーンやユーザーもこれまでとは違い、商品の幅がぐっと広がったと感じています。

研ぎ澄まされた製品からは想像できないほど、柔らかな雰囲気と穏やかな口調でお話しいただきましたが、その裏側では、自分を追い込むまるでアスリートのようなストイックさでものづくりと向き合っていることがよく分かりました。日々、無茶なお願いをすることも少なくない私たちですが、作り手にとっても新たな挑戦となり、商品開発の幅を広げるきっかけになっている。パートナーとして、とても嬉しい言葉でした。

また、私たちと産地の食器メーカーさんの間には、産地のことを知り尽くした陶器問屋さんという存在があります。常に産地の未来、ホテル・レストラン業界の未来を考える陶器問屋さんがディレクションしてくれるからこそ、お客様へ安全・安心と共に商品を提供することが叶います。

オンラインで打ち合わせが完結する時代だからこそ、実際に産地を訪れ、作り手の方と顔を合わせて食にまつわるさまざまな情報を共有することがお互いの理解を深め、信頼関係を築く上で大切だと改めて実感する機会となりました。こうした対話の積み重ねが、より良い製品づくりにつながり、お客様へのより良い提案へとつながっていきます。

これからもダック株式会社は、産地や作り手、またお客様の皆さまと共に、新しい価値を持つテーブルウェアを生み出し、ホテル・レストランの現場へお届けしてまいります。